次の朝。
今日は珍しく余裕を持って駅についた。

なんてことはない。
弟が朝の係があるらしく、三人揃って早くに家を出たのだ。

やったー、係サイコー!一生係しててくれ!
……てのは、まあ冗談として。

そんなこんなでホームでのんびり電車を待つ時間、時間の余裕とは裏腹に私は緊張していた。


なんと言っても、昨日彼と初めて話したのだ。
今までは、彼にとっては私なんて背景みたいな存在で意識されたこともなかっただろうけど。
会話した以上、少なくとも存在は覚えてもらえただろう。

どうしよう……
おはよう、とか声かけても平気かな。
それはおかしい?距離感バグッてる?なんだ馴れ馴れしいなとか思われちゃう?

つか、そもそもソッコーで忘れられていたらどうしよう。
彼は気分悪かったわけだし、一方的に話しかけてきた女の顔なんてイチイチ覚えてないかも。

「…………」

ま、まあ、それなら今まで通りこっそり見つめる日々に戻るだけだ。
ゼロに戻るだけでマイナスにはならない。
ポジティブ(?)にいこう。

そんな風に自分を奮い立たせている内、いつものアナウンスとともに三番線に電車が入ってきた。