「こちらがまふゆの許婚よ。」そう言ってママが誰かを連れてくる。「こんにちは雪野まふゆさん、あなたの許婚です。」センター分けのイケメンが私に言ってきた!!しかも目めっちゃ焦茶じゃーーん!!
「ええええええええ!!!」と目を覚ました。
 なんだ夢か〜。

雪野まふゆとはこの私のことである。最近やたらと許婚の夢を見て本当気味悪い。これで数えたら、えっとーー5回目ぐらいかな。しかも毎日同じセリフのところで覚めちゃうの。
 そんなことより今日は高1の二学期になる始業式。「まふゆ〜ご飯よ〜速くしなさーい!」「はーい」「ねぇーまふゆ」「なーに」「まふゆって好きな人居る??」こんな私に居る訳ないでしょと思いながら「居なーい」と答えた。「ならよかったわ」ママがホッとしたように微笑んで言った。なんだろと思いながら制服を整えた。
 「おっはよー」後ろから声をかけて来たのは幼稚園から、いや赤ん坊の頃からずーっと一緒の夢乃いろり。「今日も可愛いね。」そう私達月城学園は制服と私服のどっちかで選べちゃうのでーす。制服可愛いけど、私服の人も多いのであーる。そして彼女が今着ている服は、アイドルが着ているようなヒラヒラがついてる服。彼女は昔からアイドルが夢で、テンション高い時は色々派手なものを着てくる、困った子なのだ。
「でしょ!でしょ!新しく買ったお気に入りなの!」「でもねいろりちゃーーぁん、今日は式だから制服よ。」(ガーン)いろりが落ち込んだ。「だいじょうぶだいじょうぶ家近いじゃなーいの?」私は彼女の背中をバシバシ叩いて慰めた「違うの!お気に入りが着れないなんて…」「ほーら早くいきなーー」思いっきり叩いた。服の事だけうるさいんだから!!(おこ)「ウェーーーン痛いよまふゆ!!」「ごめんごめん(笑)とりあえず早く行けぇ!!!」いろりが家に向かって走って行った。
 「おはよ」「おはよー」後ろから全く同じ顔の双子の姉妹が歩いて来た。月城家の双葉と若葉だ。彼女達は私が中学から仲良い友達。すごい事に彼女達の外祖父はこの月城学園の校長であった。ちなみに言うと中高一貫でーす。月城家は代々ここの校長で、彼らがこの学園を営んでいるのであった。まさに金持ちだぁーーー!!「そういえばさ、転校生がくるらしいよまふゆ。」「そうなの?」「まふゆの席の横って空いてたよねぇ?」双葉が言った。「うん。そうだけど。」「それなら、まふゆの横に転校生がくるんじゃないか?」「ほぇー」転校生か…


(キーンコーンカーンコーン)
 「さぁみんな今学期から転校生が入るそうだ!桜花入れ!」
桜花くんは綺麗な字で黒板に自分の名前を書いた。「綺麗な字!」間宮匡(ただし)先生が横で感動していた。「さぁ!桜花!自己紹介だぁ!!!」
「桜花咲也です。よろしくお願いします。」すごい視線が感じるんだが気のせいなのか?コイツ…どこかで見た事があるような…ないような…「桜花!雪野の隣が君の席だ!困った事があれば雪野に聞けばいい!」「はい。」めっちゃ目を合わせようとしてるんですけど誰か助けてーーー!!
でもよく見ればコイツの目…髪型…あ!!!!!コイツは夢の中……の許婚だぁ!!!

              (第一話完)