「……穂乃」
リビングでテレビに夢中な穂乃が、俺の方を振り向く。
「ん?」
その仕草に可愛いと思ってしまう。いちいちそうそう思ってしまうのは、もう穂乃に重症なのかもしれない。
「夏休みにさ、一緒に祭り行かない?」
「え、祭り?」
「穂乃が嫌じゃなかったらなんだけど」
「うん!行きたい」
穂乃は目をきらきらさせてるけど、分かってるのかな。
「俺と2人でって事だけど大丈夫?」
「.....えぇ!?」
.....やっぱり、分かってなかった。
「.....いや?」
穂乃と目が合う。
穂乃は顔を真っ赤にしていて、分かりやすい。
可愛いなぁ。
「いや、じゃない.....。ただ、少し驚いただけ。てっきり、4人位で行くのかと思ってたから」
まぁ、それもいいけど、せっかくなら穂乃と2人で行きたいし。
穂乃が俺と2人は嫌だったら、ほかも誘う予定だったけどね。
ちょっと悲しくなるけど.....。
「じゃあ、決まり。楽しみにしてる」
「.....わ、たしも」
「!?」
え、これって喜んでいいのか?俺との夏祭りを、楽しみにしてくれるって事だよね?
そんな、反応をされるとは思っていなくて、内心焦っている。
それに、照れているのか、そっぽを向いて言われたから、その表情を見たいと思った。
しかし、俺は穂乃が嫌がることはしない。
でも、もし面と向かって言われてたら、とんでもない破壊力で俺はどうにかなってしまいそう。
.....俺は何を言っているんだと我にかえるが、落ち着いてはいる。
表情には出てない。だから、穂乃にも悟られてない。

