実は、俺は何もしてないわけじゃない。
穂乃には嘘をついたけど、リレーメンバーのリーダーと話をしていた。ま、ちょうど通りかかった時にだけど。
“これ以上、穂乃を傷つけたら許さない”
俺が声を掛けた時のニコニコとした反応とは違い、急激に青い顔になったのは分かった。
逆に何を期待したんだろうか。
まぁ、俺が言ったのは穂乃の担任が対応した後だったらしいから、もう何もするつもりはなかったらしいけど、念には念をね。
あーゆーやつらは、何度も同じ事を繰り返すだろうし、標的が違う人に変わるだけだと思うからね。ま、しばらくは大人しいと思うけど。先生の目もあるから。
だけど、こいつらじゃなくて、違う奴が俺に圧をかけてきた。
朝陽だ。
朝陽は体育祭で穂乃が抱えていた事は知らなかったらしい。軽く朝陽に説明をした。
すると、朝陽は悔しそうな表情を浮かべた。
“また、俺は何も出来なかった”
冗談で言ってるようには1ミリも思わなかったからこそ、負けられない。
ライバルとして。
俺は、穂乃のクラスメイトよりも、朝陽よりも、親友の赤井澤よりも、もっと穂乃と近くにいる。
だからこそ、1番に守りたい。
いや、守る。
まだ穂乃は、俺に全て心を開いてるわけじゃないから、少しづつ頑張るしかない。
でも、最近思うことは、家では緊張せずに話せてきてるから、順調だと考えていいかな。
だから、少しづつ攻めていこうと思う。