放課後、由姫ちゃんが教室に迎えに来てくれた。
「それで、脚が痛いと」
「うん……」
「今日でそのスローな速度だったら、本番も無理そうだね。体育祭も見学よね」
「……だよね」
「ま、しょうがない」
まだ、先生とかにも言えてないから、そこが不安かな。明日、言わないとね。
「由姫ちゃん、お母さんが駐車場まで迎えに来てくれてるから、帰っちゃて大丈夫だよ。それと、しばらくの間は一緒に登下校は出来ない……」
「駐車場まで送るよ。その脚じゃ心配だから。ちゃんと完治するまで無理しないでよ」
「ありがとうっ」
「何で泣きそうなのよ」
「由姫ちゃんが優しいからっ」
「泣き虫」
「うんっ」
「あ……」
由姫ちゃんは、いきなり面倒くさそうな表情をした。
「由姫ちゃんどうしたの?」
「あれよ、あれ」
由姫ちゃんの視線を追った。
「……ぁ」
視線の先には凌がいた。
家帰ったらあれこれ聞かれそう……。

