「あららー!もう、仲良しさんになっちゃったのねー!」
お母さんはニコニコして嬉しそうにしている。
「恵美さん、お久しぶりです」
「お久しぶりね!」
「お、お母さん!!この人は誰なの!?」
「……穂乃、分からないの?」
分かるわけがない。
やっぱりこの人は……。
「私、お母さんが不倫してるとは思わなかった。お父さんが単身赴任中だからって……。私、どうすればいいのっ」
「ば、ばかね!私が不倫なんかする訳ないでしょ!!」
「……ぇ、でもこの人は?」
全力で否定しているお母さんを置いて、私は天井さんに視線を移した。
「俺は、天井 凌」
いや、フルネームを聞きたいわけじゃないんだけど。
私のイライラは止まらない。
「……俺の事を覚えてない?」
「……覚えてないもなにも、知らないです」
「穂乃っ最低ね!」
「……え?」
何故、私が悪役!?

