「俺は、正直焦った」


「え?」


「……ほら!また一緒に遊べるって思うとさ、焦るだろ嬉しくてよ!」


「そ、うだね?」



なんか、無理して言ってるような気もするけど、昔を思い出したのかな?


よく分からない表現の仕方だ。



「よし!消し終わった」


「あとは鍵閉めて職員室によるだけだから、私がやっとくね。部活頑張って!」



昔の初恋相手が凌だったって事を持ち出されて、恥ずかしさのあまり早口になってしまった。



「ん、よろしく。ありがと。気をつけて帰れよ」


「うん」



朝陽が教室を出ていくのを見送る。


しかし、朝陽はドアの前で止まった。


……ん?



「篠宮……俺は昔も今も変わらねぇよ」


「え?」



朝陽はそう言い残して、教室を出ていった。


どういう意味の変わらないなのか、私には分からなかった。


自分自身なのか、凌に対してなのか、私に対してなのか、何に対してなのか、何の事なのか私には分からなかった。


朝陽がそう言い放った時の表情が見ることが出来なかったから、モヤッとしてしまった。


どんな表情でそう言ったのか。


私は知る由もなかった。