「……誰にだって好き嫌いくらいある」
「当ててあげようか」
「え」
いかにも私の嫌いな食べ物は知ってるという表情をしている凌。
「し、知ってるの?」
「トマト」
「……正解」
なんで分かったんだろ。
そう、ハンバーグと一緒に添えられている野菜にトマトもある。
いつもなら、添えられてない。しかし、今回は違って1切れだけ添えられていた。
1切れだけだったのはお母さんからの配慮だと思う。1切れだったら、何とか頑張れそうかも。
うーん、でもあの食感が……。
箸でトマトを挟んで見つめてるけど、口が開かない。
お母さんからの視線も感じるし。
「恵美さん、ご飯っておかわりしてもいいですか?」
「はいは〜い!よそってくるわね〜!」
お母さんは凌からお茶碗を受け取ってキッチンへと向かった。
「穂乃」
「う、ん?」
コソッと小声で呼ばれた。
「俺が食べてあげる」
「えっ」

