ただ私は、好きな事で遊んでいただけなのに。
それは、いけないことなの?
どんどん分からなくなって、頭が押し付けられる感覚が続く。
結局、午後からは授業にも出なかった。
帰りはお母さんが迎えに来てくれるから、それまで保健室にいる事にした。
ガラガラガラ
保健室のドアが開いた。
今は誰にも会いたくないから、仕切られているカーテンを閉めて、布団にくるまった。
「失礼します」
この声、朝陽だ。
「あら、朝陽君どうしたのかしら?」
「穂乃に用があって」
この時はまだ、篠宮ではなく“穂乃"と呼ばれていた。
「穂乃ちゃんなら、ベッドで横になってるわ。そっと開けてあげて」
「はい」
会いたくないのに、足音が近づく。
シャッ
少しカーテンが開いたのがわかった。
「穂乃、大丈夫?」
「……大丈夫」
「今日は雨降ってきちゃったし、遊ばないことになってた」
「分かった」
「じゃあ、お大事にな」
「うん、ありがとう……」
朝陽は保健室から出ていった。
私は朝陽とは顔を合わせることはできなかった。
変な態度取っちゃったな。
「穂乃ちゃんの心配してくれて、朝陽君は優しいわね」
「……幼なじみだからだと思います」
ただそれだけ。
私自身が、朝陽に対してそう思ってるから。
「そう、なのね」
それに今は、優しさだとか、人と関わる事がすごく嫌で考えてられない。
……こわいよ。

