「はいっ!お弁当」
お母さんからお弁当を受け取った。
「ありがとう」
「俺の分までありがとうございます」
「いいのよ!1人も2人も変わらないんだからー!」
お弁当を鞄に入れる。
……私も、お弁当作れるようになりたいな。
時々、作ってみようかな。今度、お母さんに教えてもらおう。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい!気をつけてねー!」
玄関を出て、自転車を車庫から出した。
登下校の手段は2人とも自転車。学校まで15分ほどかかる。
「じゃあ、俺はこっちの道から」
「私はあっちから」
それぞれ背を向けて、自転車を漕ぎ始めた。
私と凌は同じ方角から行かない。運がいい事に、180度違う方から行っても、時間がさほど変わらない道がある。
だから、2人で家を出る所がバレなければ大丈夫って事だね。

