はぁ、ついに文化祭だ。


目覚めた瞬間からそう思った。


ベッドから起き上がって身支度を整えてリビングへ向かった。


すでに朝食が用意されていた。私の分だけで、理由は何となくわかっていた。



「お母さん、おはよ」


「あら、おはよう!」



台所で家事をしているお母さんに挨拶をして、椅子に座った。



「いただきます」


「召し上がれ」


「……凌は?」



一応聞いてみる。



「凌君なら朝早く学校に行ったわよ〜」


「そっか」



やっぱりね。まぁ、その方がよかった。



「穂乃はゆっくりなのね〜!」


「うん。特に私は何もすることないし」


「そうなのねー」



ん?私はゆっくり??



「もしかして今日が何の日か知ってるの?」


「もちろんよ!文化祭でしょー?」



バレてたか、恐るべし母……。



「……来ないよね?」


「あらやだっ!何よその言い方はー!お母さんに来て欲しくないみたいじゃないっ」


「その通りだよ」


「冷たいっっ、でも大丈夫よ。お母さんは行かないから!」


「よかった」


「よかったって言わないでよぉー!まぁ、また穂乃に怒られちゃうからねー」



ちゃんと反省してるのね。



「当たり前」


「今回は大人しく家で待ってるわー!凌君にお土産頼んじゃったし!!」



お土産?



「そっか、私も何かお土産買ってくるよ」


「ありがと!待ってるー!」