ブーーブーーブーー
着信?
……朝陽からだ。
「もしもし」
朝陽とは夏休みの時の事を反省して、連絡先を交換していた。
『……今、家の前に来てる』
「え?」
『話したい事がある。外に出て来れるか』
「今出るよ」
通話を切って、外に出る準備をした。
電話越しでも分かったことがある。朝陽は怒ってる。怒りが伝わってきた。
だから、直ぐに穂乃のことだと分かる。
恵美さんに、少しだけ外に出てくると伝えた。
外に出ると、朝陽はいた。
やっぱり、怒ってる。
「近くの公園ではなそうぜ」
「うん」
朝陽は自転車で来ていて、俺もすぐに自転車を準備して着いて言った。
朝陽は知っているんだ。穂乃に何があったのかを。
やっぱり、俺が関わってるのか。
公園までは自転車で8分くらい。穂乃とも時々行くし、小さい頃もよく来てた。
朝陽は何も話さない。公園に着くまで無言のつもりらしい。
正直、気まずい。
はぁ……。
皆、昔の印象のままだけど、やっぱり寂しいと言えば寂しい。俺は、小学1年生の記憶はあるけど、小学生2年生から高校に入るまでは何も無い。
俺がいない空白の時間は、穂乃達の記憶にはいないし、存在もしない。
俺は、穂乃達の友情には勝てない。