穂乃と10年以上ぶりに会った。そして今日から俺は穂乃家に居候。
穂乃の最初の反応は、確実に俺の事を知らされてなかった。
……一応、前もって知ってて欲しかったってのが本音。
俺も穂乃の立場だったら、戸惑う気がするし。
正直、拒否られなくて良かったと、ホッとしているね。
少し前から俺は、穂乃と同じ高校に行くと決めていた。
実家を離れてもいい、そんな覚悟を持っていた。
昔の話、転校する事になったのはとてもショックだった。生まれた時から住んでいた土地を離れるのは寂しかったし、今までの友達や知り合いともお別れ。
少しの間、俺は現実を受け入れられなかった。
何より、穂乃と離れる事が嫌だったから。
それが、1番辛かった。
転校先には、誰一人として知り合いはいなかったし、あの時は新しいスタートが気に食わなかった。
俺が転校してから、少しの間は穂乃と連絡を取ったりしていたが、時が過ぎると共にそれは無くなった。
もう、穂乃には穂乃の生活がある。もちろん俺には俺の生活。それがどんどん進んでいく。
“もう会えない”
小学生の俺には、“諦める”という言葉しか出てこなかった。