「同じ学校ってなると、色んな噂が立つだろうから、一緒に住んでいるのは秘密の方がいいね」
確かに……。私は、自分の事で噂になる事が嫌いだ。
私にとって、噂は“トラウマ”だから。
だから、凌の提案は賛成。
「そうだね。私も、その方が嬉しい」
「……了解」
「あっ、嬉しいは違うか。言葉選び間違えた。凌の事が嫌いとかじゃなくて…、ちょっと訳があって目立ちたくないの。……ごめんね」
「大丈夫。一緒に住んでいる事は誰にも言わない。噂は怖いからね」
「うん……」
「学校でもあまり話さない方がいい？」
気を使ってくれてるのが分かる。
「出来ればその方が……」
「分かった。……もしかして、人と話すの苦手とか？」
「うん、コミュ障で……」
「……なるほどね」
多分、凌は過去に何かあった事に気づいている。
あぁ、馬鹿だ私。
弱いところを見せて、同情してもらおうとしてるんだ。
訳有りなのを利用して庇ってもらって、更には深入りを求めない。
最低な自分が完成した事を理解した。
