「あ、ほら思い出話をしてたら、雷どっかに行っちゃったね」
「ほ、ほんとだ」
窓の外を見てみると、濃くて黒い雲は通り過ぎていた。
「ありがとう凌のおかげだね。途中から雷の事なんて忘れちゃってた」
「それは良かった」
「でも、予定を台無しにしちゃって、ごめんね……」
図書館で調べ物があったはずなのに……。
「いつでも行けるし、問題ないよ。穂乃の方が大事だから」
「なっ……あ、ありがとう」
大事って言われると、むず痒い。
どういう意味、なんだろうか……。
意味?……私は何を知りたいの?
「でも、朝陽とのそんなエピソードがあって羨ましいな。俺はその間の記憶には存在しないから」
「今は一緒なんだから、朝陽ともいい思い出が作れるよ。大丈夫」
「……そ、そうだね。……穂乃って天然だよね」
「え、初めて言われた」
「……」
なんだろ、凌が納得してない感があるようにも感じる。なんで?
ま、いっか。
いいこと言った事には違いない!