友人

私と目線を合わせるためにしゃがんだ藤は、私を見据えて言葉を続けた。

「今日のこと……ほんとはダメかも。あの子がなんて思うか、俺には分かんない。
俺も瀬戸も、そういうの気にしないでしょ。今までもそれで俺たちふたりは、やってこれた。だけど瀬戸は、それで大好きな先輩に嫌な思いさせちゃったことがあるから、心配してくれたんだよね、俺、ちゃんと知ってるよ。でも、少なくとも俺は、俺の大事なものを一緒に大事にしてくれる人がいいから、ダメだった時はお別れするかもしれない。それは、瀬戸のせいじゃない。瀬戸のことが大事な俺と恋人だけを特別って枠に置くあの子の考え方にお互いが歩み寄れなかっただけ。瀬戸は何にも悪くないよ。」

ほんとうに、いいのだろうか。藤の言葉は、私に都合が良すぎではなかろうか。