先生との恋・番外編集・





運ばれたくないのに、運ばれたのに。運ばれなくていいのに、運ばれた。早く状態を安定させて帰りたいのにそうならない体。数日治療すれば、帰れる体。




比べて、そして、悔しいのだろう。


「……だから、手術を、」

すれば、いいのに。1番は、生きる ことだから。でもそれは僕の価値観で。岡本さんの今1番大事なものはそうじゃない。






ぽつり、言った言葉にきっとまだ本調子ではないのだろう。


彼女は最後まで言う前に俺を見て険しい表情を作り。ふい、と視線を晒した。




……カルテを振り返りながら考える。

何回、彼女は悔しい思いをしたんだろう、って。それでも手術を受けない信念の強さは、すごいけど。



岡本心、を知って、関わるようになってからしばらくして気付いたことがある。

清水先生にはちょっとだけワガママな子を。看護師さんには、煩わさないように仕事の邪魔はしないように検温や検査のタイミングは大人しくしてること。






家族には心配させないように

まだ絶対に苦しいだろうに良くなったように振る舞うこと。

友達にはいつもと変わらないように表情をコロコロ変えながら振る舞うこと。……いろいろ見てきたけれど、きっと。











家族が来た時が

いちばん等身大の、
未成年の岡本心のままだ。

いよいよ呼ばれてここに運ばれてくることが大半だけど


きっとこの調子じゃ、
呼ぶまでもない発作にもかなりの回数耐えてんじゃないかと思う。

文句は言うけど弱音を全く吐かない。

僕にだけ、
面倒くさそうにあしらう態度。






誰よりも、人の顔色を見てる。