意識が戻った時、やっぱり走っちゃだめなんだなって後悔と、親の私の気持ちを汲んで苦しそうな顔、だけど、手術が終わって安堵した顔、同じように複雑な感情を孕んだ、それでも間違ったことはしていないという高橋のまっすぐな表情だった。
今までの努力が終わった、という気持ちでいっぱいで。
嫌だといった理由も、ここまでいっぱい話した私の気持ちも、少しだけわかってくれてると信じていた気持ちも、ぜーんぶが無くなった気がして。
傷の痛みに手術をしたんだって現実を突きつけられて、苦しい。
「わぁ…!はぁ、はぁ、はぁ」
「…こころ?」
ハッと目が覚める。
あたし今、叫んだよね?
自分の声で目が覚めたような気がして、ぼんやりする頭で状況の理解がおいつく前に聞こえる優しい声。
「大丈夫?」
まだ状況が理解できなくてでも、呼吸は荒くて。
ぼんやりしているあたしを引き寄せ抱きしめられる。
ぎゅっと自分の胸元を握りしめると、「痛い?」と聞かれ、首を振る。
「どした?」
「わかんない…でも、夢みたっぽい」
「夢?」



