「…ごめん、意地悪しすぎたかも」
ごめんよ、と高橋の頭をぽんぽん、と撫でてみる。
元気出せよ、そんな気持ちも込めて。
嫌がることも無く、ただただ黙って撫でられるのを受け入れている。
よっぽどダメージ受けてんのか。
まぁ、こんなわがままな患者を大切にするくらいだから、あの子にも思い入れは強くあったんだろうな。
「なんか、今日は優しいですね」
「どんだけ人を鬼の子だと思ってんの」
「ふふ」
「……今日だけね」
「そんなこと、考えてるんですね」
「意外?」
「まぁ」
そんな、能天気に生きてない。
時間が限られてるかもしれないと知ればなおさらでしょ。
「まぁ、この病気になって長いからねぇ」
冷静に、みれるようになるまで時間はかかったけど。
どこかで諦める・・というわけじゃないけれど覚悟してる部分はあるかもしれない。
「高橋この前言ってたじゃない?手術したくてもできない人もいる、生きてほしいって」
手を乗せている頭が少し下がる。
頷いたようだ。
「分かってる。ちゃんと考えてるよ。そのうえでこうして生きてる」



