二年前

その頃の僕は一日一日をただ生きるだけで
そこには感動や喜びなんてものはなく、
毎日が憂鬱だった。

小さい頃の僕の世界はもっとキラキラしていて
やりたい事 食べたい物 欲しいもの
そんなものが沢山あったのに、

だけどある時から僕には意思というものが
なくなり、自分が何をしたいのかだんだん分からなくなっていった。


雪の降る日

僕の前を歩く一人の少女は不意に足を止めた。
彼女はそっと空を見上げ、雪のように白く
美しい手を伸ばす。
彼女の手のひらに落ちた雪の粒は
宝石のように輝き、
僕の脳裏にはその光景がしっかり焼き付き
離れることはなかった。

あの胸の高鳴りは感じたことの無い
特別なものだった。


気づいた時にはすでに彼女の姿はなかった。