ただ、まっすぐ君を想う。


凰ちゃんは

私がそらぐみさんになったら

高校生になった



その頃

私の家に

パパと私以外に

家族がふたり増えた



それが

お姉ちゃんとママだった



パパが再婚して

私にお姉ちゃんができた



お姉ちゃんは

凰ちゃんと同じ年で

同じ学校の制服を着てた



いいな

あの時

そう思った



同じのが欲しい!って

パパに頼んで

パパを困らせた



「おうちゃん
ひなもおねえちゃんとおなじドレスきたい!
パパにおねがいしたのにダメなんだって」



「雛、雛はお姫様みたいな服
いっぱい持ってるじゃん
ヒラヒラしてフリフリしてるヤツとか
リボンついてるのも持ってたよね?
オレはそっちの方が
お姉ちゃんが着てるのよりずっと
かわいいと思うけどな…
雛に似合ってる」



「おうちゃん、ホントに?」



「うん、ホントだよ
雛は、かわいいよ」



凰ちゃんにそう言われて

舞い上がってた

そらぐみの私



でも知ってた



凰ちゃんは

ヒラヒラの服を着たチビの私より

同じ年のお姉ちゃんの方が好きだって



お姉ちゃんが来てから

凰ちゃんを独り占めできなくなったのが

不満だった



いつもふたりが勉強してる横で

私は絵本を開いてた



同じ気でいたけど

凰ちゃんは

私のことは子供扱いしてる



特別な女の子ではない



それなのに私は

いつもとびきりかわいい服を着て

凰ちゃんの隣に座ってた



チビのくせに

背伸びしちゃって



早くお姉ちゃんみたいになりたいな…って

お姉ちゃんに憧れてた



お姉ちゃんには

いつも彼氏がいて



凰ちゃんには

どーなんだろう

彼女いたのかな?



あの時の私にはわからなかったけど



たぶん

凰ちゃんは



お姉ちゃんのことが

好きだった



絶対

好きだった



私は

好きになったらダメだったんだよ



でも私の方が先に

凰ちゃんを好きだったし…



いいよね?

凰ちゃん



ただ

凰ちゃんを

好きなだけだから…



誰にも内緒だから



私の永遠の王子様

凰ちゃん