凰ちゃんと私は
10歳
年が離れてる
凰ちゃんに出会ったのは
私が5歳の時
凰ちゃんは15歳
まだ中学生だったのか…
パパと私がここに越して来て
近所の凰ちゃんの家に挨拶に行った
お城みたいに大きくて綺麗なおうち
「すぐそこに越して来た
一条(いちじょう)と申します」
「あ、今うちの親いなくて…」
「何時頃ご帰宅ですか?」
「んー…今日は帰って来るかわかりません」
「そーですか…
よろしくお伝えください」
「はい
あ、ゴミ出しの日とかわかりますか?
水曜日が資源ゴミの日で…
金曜日が粗大ゴミの日です
燃えるゴミは9:00までに出してください
早く出しすぎるとうるさいオバサンいるんで
気を付けてください」
「助かります
ありがとう
君は高校生?あ、それとも大学生?」
「僕は中学生です」
「しっかりしてるから中学生には見えなかった
兄弟は?」
「僕ひとりです」
「じゃあ、ご両親と君?3人?」
「はい
でも、両親は仕事でほとんど家にいないので」
「うちはこの子と僕、ふたり
だから、何かあったらいつでも…
僕の方が君を頼りにするかもしれないけど」
「はい
わからないことがあったらいつでも
僕もよくわからないですけど…」
「ありがとう、助かるよ
雛、お兄ちゃんにこんにちはは?」
「…こんにちは…ひな、5さい
おひさまほいくえん、にじぐみさん」
私と凰ちゃんが
出会った日
見上げたら
王子様がおりてきた
「ん?ひな、ちゃん?
へー…5歳なんだ…かわいいね」
「おに…おにいちゃんは…
…おうじさまなの?」
「ハハハ…王子様ではないけど
おしい…
僕、凰貴っていうんだ
王子だったらよかったね
ひなちゃんよろしくね」
「うん!よろしくね!」
あの時
私には
凰ちゃんが
中学生でも高校生でもなくて
王子様に見えてた
物語に出てくる王子様は
ホントにいるんだ♡って
キラキラ笑う凰ちゃんを見て思った
5歳の私は
凰ちゃんに恋をした
私の初恋だった



