「あ、雛、門限大丈夫?
7時だっけ?
夕飯までに帰らなきゃだろ」
いつも凰ちゃんの家にいると
楽しくて
時間を忘れて
いつもママに怒られてた
夕飯までに帰って来なさいって
そーだけど…
凰ちゃん
話変えた
ポテトの話は?
「そんなの、小学生の時だよ」
「な、ちゃんと覚えてるだろ、オレ
今は何時なの?門限」
「10時」
「お!大人になったじゃん
そんな時間まで彼氏と何してんだか?
今日もポテト誰と食べてたんだよ」
「友達だよ!ホントだよ!
友達と食べてたの!」
ホントのことなのに
なにムキになってるんだろう
私
「へー…
高2の冬休み、有意義に過ごせよ
来年、受験だろ
彼氏とデートも今のうち」
受験
彼氏
今の私には無縁の単語
「凰ちゃん、勝手に決めないでよ
私、受験なんかしないし…」
「あ、そーなの?」
「それに…」
「彼氏とデートは当たってただろ?」
「当たってない
それも決めつけ
…
いないよ…
彼氏なんて、いない」
「それは、失礼
勝手に決めつけて…
…
へー、いないんだ
なんだ…
なんか…ごめん…
…
てっきりいるのかと思った
久しぶりに会ったら
雛かわいくなってたから…
…
高校生、楽しまなきゃ…」
私に彼氏がいないからって
そんな
気不味くならないでよ
謝られたら
尚更みじめだよ
かわいくなったとか
恥ずかしくなるような
お世辞まで言ってくれて
「凰ちゃんは高校の時、楽しかった?」
「んー…
もぉ10年も前のことだからな…
…
んー…それなりに楽しかったかも…」
「彼女、いた?」
「いたり、いなかったり…」
「今もその人と付き合ってるの?」
「そんなわけ、ないだろ
10年も付き合ってたら
さすがにもぉ結婚してるだろ」
「そっか…」
じゃあ今は
他の人なんだ
そろそろ結婚するの?
まさか…
凰ちゃんは
お姉ちゃんのこと好きだったけど
お姉ちゃんと付き合ったことはあるのかな?
私が知らないだけで
いつか
付き合ってたのかもしれない
私の憧れのお姉ちゃん
私の大好きな凰ちゃん
もし付き合ってたとしたら
複雑だけど
仕方ない
「雛、好きなヤツは?」
「ん?」
「好きなヤツとかいないの?」
「え…」
「いるんだろ」
「ん…」
「オレになんかに言いたくないか…
あ、また決めつけぽくなった
ごめん…
…
高校生活ってあっという間だからさ
まぁ、付き合うとかそーゆーのじゃなくても
雛が楽しければいいよ」
楽しければ…
「うん、毎日友達とそれなりに楽しいよ」
「そっか…
それなりじゃなくて
後悔ないように、思いきり楽しめ!」
それは
無理かな
凰ちゃんが彼氏だったら
思いきり楽しんだろうな
「…うん…」
凰ちゃんに
言いたくないわけじゃない
言えないんだよ
凰ちゃんが好き
なんて



