ただ、まっすぐ君を想う。


な…



なんて

私の勝手な理想



「おじゃましまーす」



広ーい玄関を勝手に入って

広ーいリビング



大きいソファにいつも

凰ちゃんがいる



おかえり、雛…って



アレ?

いない



「凰ちゃーん」



広いリビングに

私の声が響く



凰ちゃん出掛けたのかな?

今日はいるって言ったのに…



鍵も開いてて不用心



凰ちゃんの家の鍵は

いつも私の為に開けてくれてた



いつでも遊びに来ていいよって

凰ちゃんは言ってくれたけど



まだチビだった私

玄関のインターホンに手が届かなかった



それからいつも

凰ちゃんが家にいる時は

鍵を閉めてなかった



だから

凰ちゃんいるはずなのに…



凰ちゃんのお父さんもお母さんも

まだ帰って来てない



ホントに忙しんだね

家族なのに

家族じゃないみたい



私の家は

いつも帰ると

夕飯の匂いがするのに



凰ちゃんの家は

いつもルームフレグランスの

いい匂いがした



凰ちゃん

部屋かな?



階段をあがって

凰ちゃんの部屋のドアを開けた



無機質な部屋に

大きいベッドと

パソコンのデスクがある



数年前と変わってない

最後にこの部屋に入ったのいつだろう



ブラインドから入る外の明かりで

凰ちゃんがベッドで寝てるのが見えた



うつ伏せに寝るのも

変わってない



苦しくないのかな?



ベッドの横の写真立てに

私と凰ちゃんとお姉ちゃん

3人の写真がある



それも変わってない



この無機質な部屋に合わない

3人の笑顔



凰ちゃんホントは

お姉ちゃんとふたりの写真飾りたいんだろうな



この写真を見る度に思ってた



写真の私は

無邪気に笑ってる



邪魔だよね





邪魔だったよね

いつも



ごめんね

凰ちゃん