しばらくして、父が両手に缶のミルクティーを持って帰ってきた。
それを開けて、ストローを刺してから渡してくれる。
「治験のことだけど、予定通り始めることに変わりはないって」
「そっか」
「蒼来は大丈夫か?」
「うん」
「そうか」
「何かあったの?」
「いや、一緒に頑張ろうな」
父は何か隠すようにそう言うと、缶を開けることなく世間話を始めた。
きっと、他人思いの父のことだから、実際に治療を受ける私に心配させまいと、言いたいことを隠したのだろう。
私も父の世間話に率先して参加した。
こうでもしなければ、私も怖くて胸がつぶれそうだったから。

