初恋だった人が結婚した【完】


  
 そんな彼女が俺の結婚の祝いの飲み会に参加した。
 彼女が参加するなんて思ってもいなかった。

 きっと誰かが面白半分で誘ったのだろう。もう10年ぶりのことだった。
 そんなに経っていたのに、全く変わっていなくて、時間が止まっているかのようだった。

 そこだけ時間を切り離したように凛としていた。

 最後まで話すことはなかった。帰り際、今幸せかと聞いた。
 生きて、幸せならそれで充分だった。

 迷うことなく頷く姿に、強く凛々しいと思ったあの時と重ねていた。
 
 あの時よくしていたことをももに重ねてしていた。もう彼女はももではない。

 あの時ひっそりと想っていたももは、一つの思い出になろうとしている。

 
 もう会うことはないだろうなと思いながら、その場を後にした。