初恋だった人が結婚した【完】


 
 特に自分には取り柄があるわけでもないのに、人より少しモテていた。
 女子とのコミュニケーションがいまいち分からなかった事による、一つの弊害だった。
 身近な女子は妹だけど、俺が中学生の時に両親の離婚で別れたっきりだった。

 そのせいかつい、妹と話すつもりで話してしまう。そのせいで、告白されては降って泣かれることを繰り返していた。

  そうしていたら俺は知らぬ間に変な噂が流れた。
 
 同じ部活の同級生が面白おかしく、俺が告白されて振ったことを「女泣かせ」の言葉と共に吹聴して回ったらしい。
 
 それが尾鰭をつけて、「女泣かせ」と言う言葉が先行してとんでもないクズに変貌を遂げて帰ってきた。


 ももには申し訳ないことをしたと思う。一緒にいるだけで弊害が起こる。
 でも俺は最低だった。

 気づかないふりをして2年間ずっと甘え続けた。
 その噂にへこたれることのない強い女の子だった。大人しいのに強くて凛としていた。