飲み会から帰ってくると、いきなり僕にぎゅーっとハグをしてきた。

 こんなに強く抱きしめられたことがなかった。
 僕も同じくらいの強さで抱きしめた。


 「…最低でごめんね」
 
 彼女がぽつりぽつりと話す。

 「頭を撫でてくれるのも、笑うのも、泣くのも、全部全部アユがいい」


 10年が報われた瞬間だった。