嬉しいよりも皮肉だと思ってしまう自分は白状で冷淡なのだろうか。 


 何も答えられないシンとした空気の中でそんなことを一番に思った。
 そして、人間は想定外のことが起こると上手く通信できないらしい。


 それらのことを一編に頭の中で浮かび、沈黙を破った言葉は「ごめん」だった。

 何に対してのごめんかよくわからないなか、もう一度「ごめん」と言った。

 
 そこでこの言葉だけでは伝わらないこと気づく。


「そうじゃない。違くてね、」そう言うわたしに「うん」とだけ言って、頭をぽんと優しく撫でて「お風呂に入ってくるね」と出て行った。