どうしてだったかはもう忘れてしまった。

 普段は立ち寄らない図書室に行く機会があったのだ。
 この2年と少しで一度もドアを開けなかった図書室は少し異様で不思議な雰囲気を放っている。


 中に入ると図書室はなんの変哲もないどこにでもある図書室で、本がたくさん並んでいるだけだった。そんな普通な図書室に彼女がいた。


 窓からの景色を見ながら、大粒の涙が一筋流れていた。
 とても綺麗な姿に「彼女も泣くんだな」なんて変なことを思った。

 彼女は儚さを失って、周りと同化していく気がした。
 どんどん普通になっていくことが切ないと感じたが、それよりも嬉しさの方が勝った。