三回目の席替え。
  一年生も終わりにかけていて、一度でいいから近くにならないかなと思っていた矢先、席が隣になった。

 「よろしく」と少しの緊張を隠す僕に「よろしく」と笑う彼女。


 一年生の終わりにやっと初めてした会話がそれだった。
 どこか儚げで折れてしまいそうだと思った。

 それから、朝、休み時間、帰り、何かにつけて話しかけた。
 彼女は愛想よく笑ってくれた。


 話しかけるたびに、彼女が笑うたびに彼女という存在が形成されていくようだった。


 先輩との噂は2年間続いた。
 もうここまで来ると噂ではないのだろう。

 きっと面識があって、きっと付き合っている。


 僕の恋は最初から終わっていた。

 でも、やっぱり異質な彼女の存在に魅了されている自分はどうすればいいのだろうか。
 3年間同じクラスだった。
 
 3年生になると、もう噂なんて消えて、存在すらしていなかったように時間が流れる。彼女にも友達ができた。