2人でお揃いの弁当を広げて食べていると、なぜか教室だけでなく廊下にも人だかりができている。
これじゃあお昼ご飯に集中できない。
今日のお弁当には、私の大好きなだし巻き卵が入っているのにっ!

「はぁ、なんとかならないかなぁ。」

「何がだ。俺に相談してみろ。なんとかしてやる。」

いや、私が今悩んでいるのは遼兄のせいなんですけどね。

目の前で見るとよく分かる。凛々しい瞳に鼻筋はよく通っていて、形の良い唇。
きっと、誰もが遼兄の彼女になりたがるだろう。

「あれ?そういえば、遼兄って彼女いたことある?」

その瞬間、教室内と廊下が静まり返り、そしてざわざわと話し出す。その様子から疑問に思う。

あれ、もしかして、この話題に誰も触れたことがない?…いや、基本真顔でいる遼兄には、聞きづらい質問だったのかも。

きっと今まで色々な噂が飛び交っていたんだろうなぁ。

一緒に住んでいる私ですら彼女がいたかどうか知らないのだ。

学校の生徒が知っている可能性は低いだろうけど、もしかしたら私が知らないだけでいたのかもしれない。

そう思って遼兄の返事を待った。