その時、私はぴーんときた。
あ、もしかして姉とここに来たって言うのが恥ずかしいのか。そっか。駿も思春期なんだなぁ。
なるほどね!それなら姉ちゃんに任せなさい!!
私は、中学の演劇部に入っていた頃を思い出す。
私はこの世界一イケメンで天使な男(弟)の彼女!!
私は今から妖艶で爆美女なオンナだ!!
そう思ってスイッチを入れ替える。
私はスッと目を細め、目の前にいるナンパ男に微笑んだ。
すると、ナンパ男の顔は瞬く間に赤く染まった。
「私、実は彼氏と来てたの。だから、ここで私が駿以外とは遊ぶつもりもないし、あんたがなんて言おうが駿は世界で1番可愛くてかっこいいから。てことでもういいよね。行こ、駿。」
私はすっと駿に腕を絡めて、その場を去っていく。
周りの目線は気にしたら終わりだ。
き、気にしない気にしない!
しばらくそのまま歩いてチラッと後ろを振り返ると、あの男はもう見えなかった。
よし、ここまで来れば大丈夫だ。
そう思って腕を解こうとしたが、ほどけない。
あれ?
「駿?」
返事がないので駿の顔を見てみると、少しだけ頬を赤く染めながらも悲しそうな顔をしていた。


