視線を戻すと、遼兄は思いついたように
「あ、そうだ。今小林も着替えているから連れてこようか?」と奏に聞いた。
奏は悩むそぶりをした後、遼兄を見つめる。
「いや、今はいいです。後の楽しみに取っておきたいので。」
「そうか。ならやめておこう。」
2人の間に不思議な空気が流れる。すると、しびれを切らしたのか、先輩方(男)が本格的に連れ戻しにきた。
「ほら、遼!もう戻れよ!!」
「あぁ。じゃあな、結衣。後で絶対行くから。待ってろよ。」
頭が撫でられていたかと思えば、撫でた手がそのままするりと私の頬をなぞる。びくりとするが、なんとか堪えた。
「うん、待ってる。だから早く戻って!!」
教室に戻っていく遼兄の後ろ姿を見つめて、抱きつきたい気持ちをなんとか抑える。
教室の扉が閉まり、私はその場にへたれこんだ。


