【電子書籍化】いきおくれ令嬢は、クールな騎士様の溺愛に翻弄されています



朝の身支度で大体は済ませていたけれど、今日は外に行くつもりはなかったので簡単に終わらせてしまったのだ。

メイクはこのままでいいけれど、髪は纏めないと邪魔なる。

こんな事なら、初めから身支度をしておけば良かった。今更遅いのだけれど……。



「シェリーお嬢様、終わりました」



数分後──、私の髪は編み込みされて、綺麗に纏め上げられていた。動いても崩れないよう、しっかり止めてある。


私はいつの間にか用意されていた帽子を被ってから急ぎ足で部屋を出た。

もちろん、マドレーヌはソフィアが包んで持ってきている。


──早く食べたい……。


ディナードのことだから、すでに馬車は用意されているだろう。

私の周りには仕事が速い人ばかりなのだから。

おかげで、私も負けてなどいられない。


お茶の時間が潰されたからと言って、不機嫌になる私ではない。

そもそも、この仕事をすると言ったのは自分なのだから──。