エドアルド様は私を呼んだあと、だいぶタメを作ってから言葉を続けた。
「──私と、結婚してください」
「…………は?」
一瞬何を言われたのか分からなかった。
そして、飲みかけていた紅茶を吹き出してしまうところだった。思わず素の声が出てしまう。
──いけない、いけない、落ち着くのよ私。
自分にそう言い聞かせて、深呼吸を繰り返す。
でも、こんなに焦っているのは私だけみたいだ。
内容を知っていたお父様はともかく、お母様も驚いていると思ったけれど。
これは、予想していたわね……。お母様の予想はよく当たるから。
両親揃っている前で私に言ったのは、狙っていたのだろうか。
相手は次期公爵様──。
さっきから何度も思っているけれど、そう簡単に断れる相手ではない。
それも、婚期を逃した私にとっては絶好のチャンス。こんなこと二度とないかもしれない。
エドアルド様は相手として申し分ない地位の方だし、イケメンだ。



