【電子書籍化】いきおくれ令嬢は、クールな騎士様の溺愛に翻弄されています



きっとお兄様の代役だろうと呑気に考えていたから、びっくりした。



「わ、わたくしに……ですか?」



お父様とエドアルド様を交互に見比べてみる。

お父様はたぶん、その話の内容を知っているのだろう。でなければこんな切り出し方はしない。


お母様は隣で静かに紅茶を飲んでいる。

口を出す気はないらしい。私はもう一度、エドアルド様を見た。


だけど何を迷っているのか分からないけれど、なかなか言ってくれない。

早く仕事に戻りたい私は、サクッと要件を言って終わらせて欲しいと思っているのだ。だから──。



「エドアルド様、ご要件とはなんでしょうか?」



本来、格下の私から話しかけることはないけれど、ここは我が家だし、先程挨拶もした。

だから、無礼を承知で言わせてもらった。お父様に咎められるかなとも思ったけれど、何も言わずに見守られている。


なんだか、この雰囲気……居心地が悪い。



「シェリル様……」