【電子書籍化】いきおくれ令嬢は、クールな騎士様の溺愛に翻弄されています



お父様とお母様と話すならわかるけれど、どうして私が呼ばれたのだろう? いつも呼ばれるのはお兄様なのに。

今日この場にお兄様はいない。というか、お城へ仕事に行っているはずだ。


朝、お父様と一緒に家を出るのを送り出したのを覚えている。


メイドが、それぞれの前に紅茶を出した後、お父様が一口飲んでみせる。

それを合図にエドアルド様もカップに口をつけ、その後私とお母様もカップに口をつけた。


こんな風に、まったりお茶会をしている場合ではないのだけれど──。というか、私は自分のお茶会の時間を中断しているのに。


一体、エドアルド様の要件はなんだろうか。


チラッと盗み見てみるけれど、クールな表情が崩れることはない。


全員が一息ついたところで、お父様が口を開いた。


「シェリー、エドアルド様がお前に話があるそうだ」


考えてもいなかった言葉に、目が点になる。


まぁ、全く予想していなかった訳ではないけれど、私なんかに用があるはずもない。