私は内心、仕事をしたい──と、邪魔された原因であるエドアルド様に少し八つ当たりをしたくなった。
実際には、そんなこと無礼でできないので、心の中で思うだけに留めておく。
玄関からそう遠くない応接室に行くと、急だと言うのにお母様はもう来ていて、メイドもお茶の準備をしていた。
私達が入ってきたことに気づいたお母様は、エドアルド様に向かってカーテシーをして挨拶をする。
「急に来てしまってすまない」
「いえ、わざわざお越しいただきありがとうございます。エドアルド様に来ていただけて光栄ですわ」
お母様は完璧な笑顔でもてなしている。
ホントに急すぎると思っている私も、貼り付けた愛想笑いを浮かべたままだ。
「エドアルド様、こちらへどうぞ」
お父様がエドアルド様を席に案内して、その正面にお父様とお母様が座った。
私も呼ばれ、お母様の隣に座る。
いくらこのソファーが大きいからと言っても、三人座るのは少し窮屈だけれど仕方がない。



