【電子書籍化】いきおくれ令嬢は、クールな騎士様の溺愛に翻弄されています



それに、今日みたいなちょっとしたトラブルなどはあっても、経営に困っている訳でもないので、私が政略結婚をする必要もない。

たぶん、お兄様とお父様がそんなことはさせないと思うし──。当分は今の生活ができるだろう。

こんな充実した毎日を送れるのだから、今では結婚しなくて良かったかも、なんて思ってしまっている。


そんなことを考えながら、急ぎ足で玄関に向かっていると、私が外に出る前に扉が開いた。


誰かが開けてくれたのかな? と思っていると、次にお父様が入ってくるのが見えた。


あれ? 今日はお仕事で外に出ていると言っていなかったかしら? 



「お父様? お帰りなさいませ。お早いおかえりですね?」


「シェリー! ただいまっ。ちょっとこっちに来てくれるかい?」



急いではいても、お父様に挨拶するのは忘れない。


だけど、呼ばれるということはなにか話があるのだろうか? でも私には村に行くという仕事がある。