「ひまちゃん、お茶入れたことある?」


あまり食事をすることもなかったし、
今まで口に入れてたものは人から貰ったものばかりだった。


総司さんの問いかけに、
自分が何もできないんだと実感した。


黙って考えていると


「簡単だからすぐに覚えられるよ」


そう言って私の手を引いて台所まで行き
湯の沸かし方から優しく教えてくれた。


『ありがとうございます…』


お礼をゆうといつも微笑んでくれる。
優しい人なんだな…


「ひまちゃんは、なんでここにきたの?」


お茶を運んでいる途中で掃除さんに聞かれた



『僕、少し前の記憶がなくて、
 歳三さんや勇さんのことを何も覚えて
 ないんです。でも、優しくしてくれる
 2人の役に立ちたいし、
 少しでも早く思い出したくて…』


お話しするのが得意ではない私の話を総司さんはゆっくり聞いてくれた。


そっかあーと話を聞き終えた総司さん


「早く思い出したい気持ちもわかるなぁ
 でも、そればっかりじゃなくて、
 これから一緒に過ごして行く中で
 たくさん思い出も作れたらいいよね」


そういうと微笑んで優しく頭を撫でてくれた


頑張ってる子は嫌いじゃないよ
そういうと、止まっていた足を進めて
歳三さんたちのところへ向かった。


途中でこっそり

「僕ともたくさん思い出作ろうね」

といたずらっ子のように笑う彼に
心の中がポカポカした