クールな美形王子の誘惑




“友達”って


近いけど、踏み込みすぎちゃいけない気がして。



私と梓くんは、まだそこまで近付けてない。



……告白を断ってしまってるわけだし、住む世界も違うような人だし…


壁があるのは、仕方のないこと。



梓くんに悩みがあるなら解消してあげたいけれど


私はきっと、梓くんの悩みを理解することができないと思う…。




「はい水」




俯いて黙っていたら、


部屋に戻ってきた八雲さんが、持っていた2つのグラスをさくらちゃんと梓くんの前に置いた。




「あずちゃんのは今から持ってくるから待ってて」



「あ、はい…ありがとうございます」




“あずちゃん”、だって。


さくらちゃんと梓くんが“あず”って呼ぶから、“あず”って名前だと思われてる?