美術室にも、視聴覚室にも、家庭科室にも柊さんはいない。

女子トイレも、人の気配はない。






嫌な予感

当たらないでくれ


そう願いながら俺は音楽室の防音扉を勢いよく開いた。




「ハァ…ハァ…。」




音楽室は暗く静まり返っていて、自分の呼吸音だけが響き渡る。




…いない、か。





念のため机の下なども覗いてみるも、人の気配はない。






じゃあどこ行ったんだ?


行き違い?…いや、行き違うほど人とすれ違わなかった。



羽根村か九条に教室に戻ってないか確認してみようか。





と、そこで音楽室奥にある扉に気がつく。





…音楽準備室。




先生以外は入らないようにいつも鍵がかかってるはず。




「…」




…念のため。






俺は音楽準備室のドアノブに手をかけ、回しながら押した。






「!」





開い…








直後


鈍い音と共に、脳が震えるような衝撃が走って

俺は思い切り床に突っ伏した。