隣のクラスをのぞく。



柊さんの姿は…

ない。



「あれ?とっきやまくーん!」


「羽根村」


「珍しいねぇ、うちのクラスに来るなんて!どうしたの?」


「えっと……柊さん、いる?」


「美琴ならさっきパン買いに行ったよー!さっきね、不幸なことに大好物のクリームパン落としちゃったんだよ!スマホの通知見てなんかビックリして手が滑っちゃったみたいなんだけどさー、美琴が食べ物落とすなんて、」


「通知?通知ってなんの?」


俺が羽根村の話をさえぎって聞くと、羽根村が相変わらずの呑気な調子で答える。


「ん-?わかんないなぁ。あっ、ピロロン♪て鳴ってたよ」


…パンシテの通知音。

やっぱり誰かから何か送られてきて、その返信がなぜか俺に来たんだ。

…もしくは、俺から…?



「…パン買いに行ったって、食堂のほうの売店?」


「多分そうだと思うよ。近いし、もうすぐ帰ってくるんじゃないかな?」


「羽根村、ありがとう。」

俺はそう言うと同時に、羽根村に背を向ける。


「えっ、時山くーん!待ってなくていいのー?」


背中に聞こえる羽根村の声に、「売店見てくる」と言って足を速める。




ぞわぞわと嫌な予感が増幅していく。