その日の授業を全て終え、下駄箱で靴に履き替えた。

部活がないからまっすぐ帰る。

まだ明るい時間に帰るの、なんか変な感じ。


モヤモヤすることがたくさんあるけど勉強に本腰入れなくちゃ。うん。


…と言いつつ。


帰りの電車の中で、ついパンシテを開いてしまう。

日々の肥やしだったけど、そろそろパンシテも控えなくちゃいけないな。


「…」


私はフォロワーリストから『jun』を選択して、時山君のパンシテを覗く。

この作業が癖になってしまっていた。

相変わらず時山君はログインしてる形跡がない。

時山君のパンシテを変わったところがないかチェックしながら、ふと思う。

これって…ちょっとしたストーカー?






私はパンシテをログアウトした。

だめだ。勉強しよう。勉強!


意を決して参考書を開いた。



私はその日から、いろんなモヤモヤから逃れるように勉強に没頭していった。




バスからの帰り道も参考書に夢中になっていた私は、あの子猫の声にも全く気が付くことなく
受験という名の大きな波に揉まれようとしていた。