「大丈夫かぁー美琴ぉー」


優花が頭をなでなでしてくれる。

なんだろう。優しさが沁みる。


「…ダメかも。」


「マ!?…美琴が弱音を吐くなんて相当じゃん……よし!羽根村、踊ります!」



優花がガタッと立ち上がって、変な踊りを披露し始めた。



「…」




優花…

バカかわいいなぁ。

みんなが注目してる中、一心不乱に変なダンス踊ってるなぁ。

私を元気付けるためにやってくれてるんだな。

優しいな、好きだなぁ。

…変なダンスだなぁ。







「…羽根村。いいダンスだな。」


いつの間にか教卓に寺田先生。


「だよねー!?」


得意げな優花。


「はい、じゃあ最初の問題、羽根村さんから当てまーす。」


ガタ、ガタン!


優花が光の速さで机に戻って必死の形相で教科書をめくる。




「…優花」


私は寺田先生にバレないようにこっそり話しかけて、問題の答えを耳打ちする。



「羽根村ー!前に出て答え書いて〜」


寺田先生が黒板にカカッと問題を書いて優花を促した。



優花がアイコンタクトで私にお礼を言って、黒板にカカカッと自信たっぷりに解答を書いた。



ドヤさ、と寺田先生を見る優花。



「…柊。羽根村を甘やかすな。」



…バレた。



「なんでぇーーー!?」


「バレバレなんだよ。顔に『教えてもらいました』って書いてある。はい、次の問題どうぞ。」



優花が「ヒーン」と言いながら次の問題と格闘する。


優花…力及ばず。ごめん。