「みっ、こっ、とー!」



「…」



「美琴美琴美琴美琴!」



「…」



「ン美琴ぉー!!!!」



「…」



「……えいッ。」


つん。


「○☆$#%〆!?!?」




脇腹を突かれた私はイスから派手に崩れ落ちた。



「な!?何するの、優花!」



優花が教科書を縦にして恐る恐る私を覗いてる。

「100回呼んでも応答ないから本当に人形かと思ったよ?」


「…勉強に集中してたの」


「ふむ。なんの?」


「…」



私の机の上にあるのは、日下部清政がデカデカと載った雑誌の1ページ。


そういえばさっき誰かが置いてってた。


雑誌をパタンと閉じて、ため息をついた。






私は、特別教室棟での事件が結構効いてしまって

何にも集中できずに、思考の沼に陥っていた。




時山君の胸の音や匂いを思い出すと柄にもなくキュンキュンしてしまって


なんですぐに私を離さなかったの、とか

なんでキヨマサ君とのことを聞いてきたの、とか


…自分は中途半端なくせに

私のこと好きでいてくれたらいいのにって思ってる自分がいる。





でも、それと同時に思い起こされる時山君と長谷川さんの背中。





…時山君は?

長谷川さんと付き合ってるの?



あのとき、行かないでって言ったら…戻ってきてくれた…?