「あはは、楽しそう!仲良しだねぇ〜」


優花が教室に入っていく2人を眺めて言った。


…うん。本当に。




唯が男の子の友達にあんな風に甘えて楽しそうにするのは、これまでになかった。


唯が犬なら、尻尾振って懐いてるって感じ。




時山くんは唯と同じクラスで、唯の一番の友達。

2人のクラスの前に行くと、クラスの他の男子達とじゃれあってるのが見える。


「おい九条〜!陸部のエースの足を酷使するなよなー!」

「陸部(弱小)の、だけどな」

「朝練だけじゃ足りないかと思って。ね?」


唯が時山くんの肩をポンと叩くと、時山くんが自分の太腿を真面目な顔で見つめる。


「あれ…?本当だ…!俺の大腿筋が、喜んでいる…!!」

そう言って太腿をピクピクさせる。



「…な?」

なぜか唯が得意げにする。



「嘘つけお前ら!あはは!」



…みんな楽しそう。

時山くんがいるとみんな近寄っていって笑顔になってる。

本当に太陽みたいな人だなぁ。





「ハァ…ハァ…と、時山くんの…ふ、ふと、もも……ハァ…ハァ」

「…人の耳元で何してんの、優花」

「美琴の心の声のアテレコ」

「そんなこと思ってない」

「どーだか?美琴って実は変態そうだし〜?」

「え!?へ…ちょっと、優花…!」

ちゃんと否定できず、逃げる優花をヤケクソで追いかける私。


そのままふざけながら私たちも教室に入った。