「ンハァー…時山君かっこいい…ハァ、ハァ、好き好き大好き。抱いて。ホールドミー。」


「…優花。」


「当たっちゃった?」


「…」


もう否定する気にもなれない。

…助けてくれたのが嬉しくて舞い上がってたのはほんとだけど。


「しかし時山くん、交友関係ほんと広いねぇ。あのキヨマサくんとお友達とは。」


「あの?優花、キヨマサくんのこと知ってるの?」


遠くでキヨマサくん含む男子数人で戯れあってるのを眺める。


「もっちろん!有名人じゃん!キヨマサくん、美琴のファンだったんだねぇ……あ」


優花が掲示板に張り出された『大学受験特別補講について』という文字を見て、
「もうそろそろ部活も引退シーズン?」と聞いた。


「うん。空手道部も今度の大会で最後。」


「ギリギリまで残ってやってるんだって?」


「うん。頑張ってる。」


頑張りすぎないがモットーのうちの空手道部は、県大会行ければラッキーくらいのスタンスでこれまでやってきた。


でも、最後の大会が迫って『何か残したい』という思いが私の中に生まれた。


高校に入ってからの私は、全国大会には行けてもすぐ負けていて、負け癖ってやつがついていたと思う。

それがちょっと悔しくて。