「柊さん柊さん柊さん!」


廊下を1人で歩いてたところ、
聞いたことない三連呼びに驚いて振り返る。




身長の高い、坊主頭の男の子。

日焼けした肌に満面の笑みを浮かべて、軽快な足取りで私の隣に並んだ。

制服の着崩し方がやんちゃで眉毛がほとんどない彼に、私はちょっと身構える。


どちらさまで…?という私の返事を待たずして、怒涛のマシンガントークが始まった。


「柊さん!俺!キヨマサ!パンシテフォローしてくれたよね!?えーかわいい!超かわいい!!顔ちっさ!まつ毛なが!えっ…めっちゃくちゃ可愛いーーー!!」


「…」


キヨマサってこの人だったんだ。

どうする…?どうしたらいい?

あ、いろいろくれてありがとうって言った方がいいよね?


口を開こうとするとキヨマサくんが今度は本気のトーンで話を続ける。


「柊さんまぁーじで可愛いね?本物やべーわ。肌キレイだし髪サラサラだし…」


そう言って私の髪に触れようとした。






「スーパーエクスプロージョンファイヤーアタックー!」


「グハァ!!」




キヨマサくんが後ろからの激しい衝撃で前の方によろけた。





「…時山!!何すんだよ!」



「おっすキヨマサ〜」





時山くんがそのままの勢いでキヨマサくんと肩を組み前へ前へと連れていく。



「ちょーちょちょちょ、おれまだ柊さんと話があるんだよ!柊さん!今度お茶ー!!」


「はいはい今度ねー」


「なんだよ時山!ずりーぞお前ばっかかわいい子と仲良くしやがって!」


「何言ってんの?俺が仲良くしたいのはお、ま、え」


「え、やだ…時山くんたら…そっち?」





去っていく2人の背中を見る。




スーパーファイヤーエクスプロージョンアタック?

…時山くんって知れば知るほど、なんというか、少年っぽいところがあるなぁ。



…ん?



もしかして時山君、助けてくれた…?